ふと、手帳を変えてみようと思った年末のこと
年末というのは、不思議な時間が流れますよね。
一年の振り返りをしながら、来年はどうしようかとぼんやり考える。
忙しさの合間に、ふと立ち止まる瞬間が増える季節です。
私もそんな年末のある日、来年度の目標設定と活動計画を考えていました。
「中長期で、自分は何を目指しているんだろう」
そんなことを考えながら、なんとなくネットを眺めていたときに、
偶然出会ったのが「高田式手帳術」というサイトでした。
最初は「手帳術か、いろいろあるよな」くらいの気持ちで読み始めたんです。
でも、記事を読み進めていくうちに、「あれ、これどこかで見た考え方だな」と気づきました。
ベースになっていたのは、『7つの習慣』だったんですよね。
若い頃には響かなかった言葉が、今になって沁みてくる
『7つの習慣』は、20代の頃に一度読んだことがありました。
当時は「有名なビジネス書だから読んでおこう」くらいの気持ちで手に取ったのですが、
正直なところ、あまりピンとこなかったんです。
「第二領域が大事」と言われても、目の前の仕事に追われている毎日では、なかなか実感が持てなくて。
でも、年末にあらためて読み返してみると、驚くほど言葉が入ってきました。
「緊急ではないけれど重要なこと」に時間を使う。
目標から逆算して、本当に必要なことを優先する。
そして、振り返りを毎日、週次、月次、四半期、一年と、サイクルで回していく。
若い頃の自分には「理屈としてはわかるけど…」という感覚だったものが、
今は「ああ、これをやらないと、ずっと同じところをぐるぐる回ってしまうんだな」
と腹落ちしたんです。
歳を重ねるというのは、こういうことなのかもしれません。
システム手帳という「余白」を持つこと
そんな流れで、数年ぶりにシステム手帳を使い始めました。
これまでは持ち運びやすさを優先して、綴じ手帳を愛用していたんです。
でも、今の自分には「情報を入れ替えられる余白」が必要だと感じました。
システム手帳って、リフィルを自由に差し替えられますよね。
年間目標のページがあって、月間のページがあって、週間のページがある。
そして、それぞれを行き来しながら、「今週やるべきことは、本当にこれでいいのか」と問い直すことができる。
これが、綴じ手帳にはない柔軟性なんだと気づきました。
人生のビジョンから逆算して、今日の行動に落とし込んでいく。
そして、振り返りを通じて、また軌道修正をしていく。
このサイクルを回すには、「固定されたページ」よりも
「入れ替えられるページ」の方が、自分には合っていたようです。
「思考を整理する時間」が取れないという悩み
ただ、こういう話をすると、よくこんな声をいただきます。
「振り返りが大事なのはわかるんですけど、なかなか時間が取れなくて…」
「手帳に書こうと思っても、結局続かないんですよね」
「目標を立てても、気づいたら年末になっていて、何も変わっていない」
これ、本当によくわかるんです。
私自身も、振り返りの時間を取ることがずっと苦手でした。
目の前のタスクに追われて、「振り返りは後で」と先送りにしてしまう。
そして、気づいたら一週間が終わり、一ヶ月が終わり、一年が終わっている。
でも、そうやって走り続けていると、
どこかで「自分は何のためにこれをやっているんだろう」という感覚に襲われることがあるんですよね。
忙しいのに、充実感がない。 成果は出ているはずなのに、手応えがない。
そんなときに必要なのは、もっと頑張ることではなく、
「立ち止まって考える余白」なんじゃないかと、最近は思うようになりました。
営業組織でも同じことが起きている
実は、これと同じ構造が、営業組織でもよく見られるんです。
私は人材開発・組織開発のコンサルタントとして、さまざまな企業の営業チームを支援させていただいています。
その中で、こんな場面に出会うことが少なくありません。
営業会議が「数字の確認」で終わってしまう。
「今月の進捗は?」「この案件はどうなった?」という確認が中心で、会議が終わる頃には、
なんとなくモヤモヤした空気が残っている。
マネージャーは「もっと自分で考えて動いてほしい」と思っている。
メンバーは「結局、数字を詰められるだけ」と感じている。
このすれ違いが続くと、チーム全体がどこか疲弊していくんですよね。
数字の確認から「振り返り」へ
あるクライアント企業で、営業会議の進め方を変えてみたことがありました。
それまでは、案件の進捗確認が中心だった会議を、「振り返り」の場に変えてみたんです。
具体的には、こんな問いをメンバーに投げかけるようにしました。
「この商談で、何を目指していましたか?」
「どのような状態を作り出すことを狙っていましたか?」
「そのために、何をやりましたか?」
「結果として、顧客の反応はどう変わりましたか?」
「そこから得られた成果は何でしたか?」
「次回に向けて、どんなアクションが考えられますか?」
最初は、戸惑うメンバーもいました。
「そんなこと、考えたことなかったです」という反応もあったんですよね。
でも、この問いを繰り返していくうちに、少しずつ変化が生まれてきました。
メンバーが、自分で考えるようになったんです。
「次はこうしてみようと思います」
「この部分がうまくいかなかったので、別のアプローチを試してみます」
会議の中で、そんな言葉が自然と出てくるようになりました。
「型を更新し続ける」という姿勢
この変化を見ていて、私は手帳のことを思い出しました。
システム手帳は、リフィルを入れ替えることで、自分の「型」を更新し続けることができます。
営業組織も同じなんじゃないかと。
固定されたマニュアルに従うだけでなく、
状況に合わせて打ち手を変え、自らの「型」を更新し続ける柔軟性。
それを可能にするのが、「振り返り」という仕組みなんですよね。
数字を追いかけるだけでは、同じパターンを繰り返すことになりがちです。
でも、「何を目指していたか」「何が起きたか」「次はどうするか」を言葉にする習慣があると、
少しずつ打ち手の幅が広がっていく。
これは、個人の手帳でも、組織の会議でも、本質的には同じことなんだと感じています。
効率化の先に、何を残したいか
最近、「効率化」という言葉をよく耳にします。
AIを使って業務を効率化する。ツールを導入して時間を短縮する。
それ自体は、とても大切なことだと思います。
でも、効率化の先に何を残したいのか。
そこを考えずに走り続けると、
どこかで「何のためにやっているんだろう」
という感覚に襲われるんじゃないかと思うんです。
私がシステム手帳を使い始めたのも、効率化とは逆の動きだったかもしれません。
デジタルツールの方が、スケジュール管理は楽ですよね。
検索もできるし、リマインダーも設定できる。
でも、アナログな手帳だからこそ、書き込む瞬間に自分の本音と向き合える気がするんです。
「本当にこれをやりたいのか?」
「この目標は、自分の人生にとって意味があるのか?」
そんな問いを、手帳を開くたびに自分に投げかけている感覚があります。
思考を整理するための「相棒」
皆さんは、思考を整理するための「相棒」として、どんなツールを大切にされていますか?
手帳でもいいし、ノートでもいいし、デジタルツールでもいいと思います。
大切なのは、立ち止まって考える時間を、意識的に持つことなんじゃないでしょうか。
私にとっては、それがシステム手帳でした。
リングを開閉するたびに、「今の自分は、目指す方向に向かっているだろうか」と問い直す。
その小さな習慣が、日々の行動を少しずつ変えてくれているように感じています。
組織にも「余白」を
そして、これは組織にも同じことが言えるんじゃないかと思うんです。
効率化を追求するあまり、振り返りの時間を削ってしまう。
数字を追いかけることに精一杯で、「何のためにやっているのか」を考える余裕がない。
そんな状態が続くと、メンバーは「やらされ感」を抱えたまま走り続けることになります。
でも、週に一度でも、
「今週は何を目指していたか」
「何ができて、何ができなかったか」
を振り返る時間があると、少しずつ景色が変わってくる。
メンバーが自分で考え、自分で動くようになる。
マネージャーは「詰める」のではなく「一緒に考える」存在になる。
そんな変化が、振り返りという「余白」から生まれてくるんですよね。
もし今、「忙しくて振り返りの時間が取れない」と感じているなら、
まずは週に15分だけでも、立ち止まる時間を作ってみてください。
手帳でもノートでも、スマホのメモでもいいと思います。
「今週、自分は何を目指していたか」
「何ができて、何ができなかったか」
「来週、何を変えてみようか」
この3つの問いを、自分に投げかけてみる。
それだけで、少しずつ見える景色が変わってくるかもしれません。
