営業パーソンに求められる交渉力とは何でしょうか。
交渉力とは、自分の目的や利益を達成するために、
相手との話し合いや協議を行う能力のことです。
交渉は、営業の現場では日常的に行われる活動です。
顧客との契約や価格、納期、サービス内容など、
様々な条件を決める際には、交渉が必要になります。
しかし、交渉というと、相手と対立するイメージを持つ方も
多いのではないでしょうか。
実は、交渉は相手と対立することではありません。
交渉は、相手との関係を築きながら、双方が満足できる結果を目指すことです。
交渉は、WIN-WINの関係を作ることです。
営業に交渉力が必要な理由は、以下のようなものが挙げられます。
- 顧客のニーズや要望に応えることができる
- 顧客の信頼や満足度を高めることができる
- 顧客との長期的な関係を構築することができる
- 自社の商品やサービスの価値を高めることができる
- 売上や利益を向上させることができる
交渉力を高めることで、これらの効果が期待できます。
しかし、交渉力は一朝一夕に身につくものではありません。
交渉力を高めるには、継続的な学習と実践が必要です。
今回は、営業パーソンに求められる交渉力について、
具体的な方法やポイントをお伝えしていきます。
ぜひ、参考にしていただき、自分の交渉力を向上させてください。
顧客との交渉はWIN-WINを目指す必要がある
営業パーソンにとって、顧客との交渉は避けて通れない活動です。
しかし、交渉というと、相手と争うイメージを持つ方も
多いのではないでしょうか。
実は、交渉には協創型と対立型の二種類があります。
協創型交渉とは、相手との関係を重視し、
双方が満足できる解決策を探ることです。
対立型交渉とは、自分の利益を最大化しようとし、
相手との関係を度外視することです。
協創型交渉と対立型交渉の違いは、以下の表にまとめました。
協創型交渉 | 対立型交渉 |
相手との関係を重視する | 相手との関係を度外視する |
双方が満足できる解決策を探る | 自分の利益を最大化しようとする |
信頼や協調の雰囲気を作る | 競争や敵対の雰囲気を作る |
長期的な関係を構築する | 短期的な取引を行う |
協創型交渉と対立型交渉のメリットとデメリットは、
以下のようになります。
協創型交渉 | 対立型交渉 |
メリット:相手との信頼関係を築き、長期的なビジネスを展開できる | メリット:自分の利益を最大限に引き出せる可能性がある |
デメリット:相手の要求に応えすぎて、自分の利益を損なう可能性がある | デメリット:相手との関係を悪化させ、再度のビジネスができなくなる可能性がある |
営業においては、協創型交渉を選択するべき理由は、
以下のようになります。
- 顧客のニーズや要望に応えることができる
- 顧客の信頼や満足度を高めることができる
- 顧客との長期的な関係を構築することができる
- 自社の商品やサービスの価値を高めることができる
- 売上や利益を向上させることができる
交渉の目的と原則は、相手とのWIN-WINの関係を作ることです。
協創型交渉は、その目的と原則に沿った交渉方法です。
営業パーソンは、協創型交渉のスキルを身につけることで、
顧客との良好な関係を築き、ビジネスの成功につなげることができます。
交渉は段取り八分:準備の重要性
交渉において、最も重要なことは何でしょうか。
答えは、準備です。
交渉の準備とは、相手の情報や自分の目的や条件などを
事前に調べたり、考えたりすることです。
交渉の準備は、交渉の成否を大きく左右する要素です。
交渉の準備のメリットは、以下のようなものが挙げられます。
- 相手のニーズや動機を把握することができる
- 自分の目的や条件を明確にすることができる
- 相手との合意点や障害点を予測することができる
- 交渉の流れや戦略を立てることができる
- 交渉中に迷ったり、動揺したりすることが少なくなる
交渉の準備の方法は、以下のようなものがあります。
- 相手の情報を収集する
- 相手の業種や規模、歴史、経営状況、競合他社などを調べる
- 相手の担当者の役職や権限、性格、趣味、関心事などを調べる
- 相手のニーズや要望、問題点、不満点などを調べる
- 自分の情報を整理する
- 自分の目的や条件、期限、予算などを明確にする
- 自分の強みや弱み、優位点や劣位点などを分析する
- 自分の商品やサービスの特徴やメリット、デメリットなどを整理する
- 交渉のシナリオを作成する
- 相手との合意できる上位目的を想定する
- 相手との交渉可能領域(ZOPA)を設定する
- 相手との交渉が不成立になった場合の最善代替案(BATNA)を検討する
- 交渉の流れや戦略、交渉材料や譲歩点などをシミュレーションする
ここで、ZOPAとBATNAという用語について、詳しく説明します。
ZOPAとは、交渉可能領域(Zone Of Possible Agreement)の略で、
双方が合意できる条件の範囲を指します。
例えば、あなたが車を売りたいとき、
あなたの最低売却価格が300万円で、
相手の最高購入価格が350万円だとします。
このとき、ZOPAは300万円から350万円の間になります。
ZOPAを設定することで、交渉の目標や範囲を明確にすることができます。
BATNAとは、
最善代替案(Best Alternative To a Negotiated Agreement)の略で、
交渉が不成立になった場合にとるべき最善の選択肢を指します。
例えば、あなたが車を売りたいとき、他の買い手がいて、
その買い手が320万円で買ってくれるとします。
このとき、BATNAは320万円になります。
BATNAを検討することで、交渉に臨む際の最低ラインや交渉力を
強化することができます。
交渉の準備にかける時間や労力の目安は、以下のようになります。
- 交渉の規模や重要度に応じて、準備にかける時間や労力を決める
- 一般的には、交渉にかける時間の20%から30%を準備にあてると良いとされる
- 例えば、交渉に1時間かける場合は、準備に12分から18分かけるということになる
- ただし、準備にかける時間や労力は、過度にならないように注意する
- 準備が完璧でなくても、交渉中に臨機応変に対応することができれば問題ない
交渉は段取り八分と言われるほど、準備の重要性は高いです。
交渉の準備をしっかりと行うことで、
交渉の成功率を高めることができます。
営業パーソンは、交渉の準備のスキルを身につけることで、
顧客との良好な関係を築き、ビジネスの成功につなげることができます。
交渉におけるコミュニケーションのポイント
交渉を準備した上で、相手と交渉するシーンでは、
コミュニケーションのスキルが重要です。
コミュニケーションとは、言葉や態度や表情などを使って、
自分の考えや感情を相手に伝えたり、
相手の考えや感情を理解したりすることです。
コミュニケーションのスキルを身につけることで、
以下のメリットがあります。
- 相手との信頼関係を築くことができる
- 相手のニーズや要望を引き出すことができる
- 自分の提案や交渉材料を効果的に伝えることができる
- 相手の反応や態度を読み取ることができる
- 相手との合意に近づくことができる
交渉におけるコミュニケーションのポイントは、以下の4つがあります。
- 傾聴力を発揮する
- 相手の気持ちを考える
- 判断軸を持つ
- 洞察力を発揮する
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
傾聴力を発揮する
傾聴力とは、相手の話を注意深く聞き、理解し、共感し、
フィードバックする能力のことです。
傾聴力を発揮することで、以下のメリットがあります。
- 相手に興味や尊重を示すことができる
- 相手のニーズや要望、問題点、不満点などを把握することができる
- 相手の信頼や好感を得ることができる
- 相手の話を引き出すことができる
傾聴力を発揮する方法は、以下のようなものがあります。
- 相手の話に集中する
- 相手の話を遮ったり、話題を変えたりしない
- 相手の話に耳を傾け、目を見て話す
- 相手の話に関心や関与を示す
- 相手の話を理解する
- 相手の話の要点や背景や目的を把握する
- 相手の話に疑問や不明な点があれば、質問する
- 相手の話を要約したり、言い換えたりして、確認する
- 相手の話に共感する
- 相手の気持ちや立場に寄り添う
- 相手の話に同意や感謝や賞賛を示す
- 相手の話に感情や感想を反映させる
- 相手の話にフィードバックする
- 相手の話に対して、自分の意見や提案や解決策を伝える
- 相手の話に対して、自分のニーズや要望や条件を伝える
- 相手の話に対して、自分の商品やサービスのメリットを伝える
傾聴力を発揮する例は、以下のようになります。
- 例えば、あなたが車を売りたいとき、
相手が「今の車が古くなってきて、燃費が悪くて、
修理代がかかって、困っています」と言ったとします。 - このとき、傾聴力を発揮すると、以下のようになります。
あなた:「今の車が古くなってきて、燃費が悪くて、修理代がかかって、困っているんですね。それは大変ですね。私も以前、同じような経験がありました。新しい車に乗り換えたいと思っているんですか?」
相手:「はい、そうなんです。でも、新しい車は高いし、どれがいいかわからないし、迷っています。」
あなた:「新しい車は高いし、どれがいいかわからないし、迷っているんですね。私もそうでした。でも、私はこの車に出会って、すぐに気に入りました。この車は、燃費が良くて、故障しにくくて、安全性も高いんです。あなたのニーズにぴったりだと思います。一度、試乗してみませんか?」
相手の気持ちを考えるとは、相手の立場や感情に配慮し、
共感や尊重を示すことです。
相手の気持ちを考えることで、以下のメリットがあります。
- 相手とのコミュニケーションの障壁を減らすことができる
- 相手の協力や信頼を得ることができる
- 相手の反発や抵抗を和らげることができる
- 相手の動機や意思を引き出すことができる
相手の気持ちを考える方法は、以下のようなものがあります。
- 相手の立場や状況を想像する
- 相手が何を求めているのか、何に困っているのか、何に喜ぶのかなどを考える
- 相手がどのような感情や態度を持っているのか、どのように感じているのかなどを考える
- 相手の言葉や行動に注意する
- 相手が何を言っているのか、どのように言っているのかなどを聞く
- 相手がどのように行動しているのか、どのような表情や仕草をしているのかなどを見る
- 相手に質問やフィードバックをする
- 相手の気持ちや考えを確認したり、深めたりするために、質問やフィードバックをする
- 質問やフィードバックは、オープンエンドのものや、感情や感想を反映させたものが効果的である
相手の気持ちを考える例は、以下のようになります。
- 例えば、あなたが車を売りたいとき、相手が「この車は燃費が良いと聞いたんですが、本当ですか?」と言ったとします。
- このとき、相手の気持ちを考えると、以下のようになります。
あなた:「この車は燃費が良いと聞いたんですが、本当ですか?とおっしゃいましたね。燃費が良いことは、あなたにとって重要な要素なんですね。私もそう思います。この車は、燃費が良いだけでなく、環境にも優しいんです。実際に、この車は、国の基準をクリアしたエコカーに認定されています。燃費に関しては、この資料に詳しく書いてありますので、ご覧ください。この車は、他の車と比べて、燃費が約20%も良いんです。あなたは、どのくらいの距離を走ることが多いですか?」
判断軸とは、交渉において、自分の目的や条件に基づいて、
相手の提案や要求に対して、受け入れるか否かを判断する
基準のことです。
判断軸を持つことで、以下のメリットがあります。
- 自分の目的や条件を明確にすることができる
- 相手の提案や要求に対して、迅速かつ合理的に対応することができる
- 相手の提案や要求に対して、適切な交渉材料や譲歩点を提示することができる
- 相手の提案や要求に対して、自分の利益を損なわないようにすることができる
判断軸を持つ方法は、以下のようなものがあります。
- 自分の目的や条件を具体的に定める
- 自分が交渉で何を達成したいのか、どのような条件で合意したいのかを明確にする
- 自分の目的や条件を優先順位や重要度に分ける
- 自分の目的や条件に対して、相手の反応や提案を予測する
- 自分の目的や条件に基づいて、相手の提案や要求に対して、受け入れるか否かを判断する
- 相手の提案や要求が自分の目的や条件に合致するかどうかを確認する
- 相手の提案や要求が自分の目的や条件に合致しない場合は、拒否するか、修正するか、代替案を提案するかを決める
- 相手の提案や要求に対して、自分の交渉材料や譲歩点を提示する場合は、自分の目的や条件に影響しない範囲で行う
判断軸を持つ例は、以下のようになります。
- 例えば、あなたが車を売りたいとき、相手が「この車は気に入ったんですが、価格が高すぎます。250万円にしてくれたら買います」と言ったとします。
- このとき、判断軸を持つと、以下のようになります。
あなた:「この車は気に入っていただけたんですね。価格が高すぎるとおっしゃいますが、250万円にするというのは、私にとっては不可能です。私の目的は、この車を300万円以上で売ることです。私の条件は、この車の状態や性能や付属品などを考慮したものです。250万円にすると、私の目的や条件に合致しません。ですから、250万円にするという提案は、受け入れられません。しかし、あなたとのビジネスを成立させたいと思っています。そこで、私はあなたに対して、以下のような代替案を提案します。この車の価格を290万円にします。その代わりに、この車に付いているナビやカメラなどのオプションは、別途料金をいただきます。この代替案は、私の目的や条件に合致する範囲で行ったものです。あなたは、この代替案について、どう思いますか?」
洞察力とは、相手の言葉や行動の裏に隠された本音や意図を
見抜く能力のことです。
洞察力を発揮することで、以下のメリットがあります。
- 相手のニーズや要望を正確に把握することができる
- 相手の反応や態度を的確に判断することができる
- 相手の心理や感情を操作することができる
- 相手に有利な提案や交渉材料を見つけることができる
洞察力を発揮する方法は、以下のようなものがあります。
- 相手の言葉や行動に隠された本音や意図を推測する
- 相手の言葉や行動に矛盾や違和感がないかをチェックする
- 相手の言葉や行動に影響を与える要因や背景を考える
- 相手の言葉や行動に対して、なぜ?という問いを繰り返す
- 相手の言葉や行動に対して、適切な反応や対策をする
- 相手の本音や意図に応じて、自分の言葉や行動を変える
- 相手の本音や意図に応じて、自分の提案や交渉材料を変える
- 相手の本音や意図に応じて、自分の交渉戦略や目標を変える
洞察力を発揮する例は、以下のようになります。
- 例えば、あなたが車を売りたいとき、相手が「この車はいいんですが、色が気に入りません。もっと明るい色がいいです」と言ったとします。
- このとき、洞察力を発揮すると、以下のようになります。
あなた:「この車はいいんですが、色が気に入りません。もっと明るい色がいいですとおっしゃいましたね。色が気に入らないというのは、本当の理由なんですか?もしかしたら、他にも気になる点があるのではないでしょうか。例えば、価格や性能やサイズなどです。私は、あなたがこの車に本当に興味があると思っています。だから、正直に言ってください。この車に対して、何が不満なのか、何が不安なのか、教えてください。私は、あなたの不満や不安を解消するために、できる限りのことをします。あなたがこの車に満足できるように、一緒に考えましょう。」
まとめ
このブログ記事では、営業パーソンに求められる交渉力について、
具体的な方法やポイントをお伝えしました。
交渉力とは、自分の目的や利益を達成するために、
相手との話し合いや協議を行う能力のことです。
営業に交渉力が必要な理由は、以下のようなものがあります。
- 顧客のニーズや要望に応えることができる
- 顧客の信頼や満足度を高めることができる
- 顧客との長期的な関係を構築することができる
- 自社の商品やサービスの価値を高めることができる
- 売上や利益を向上させることができる
交渉力を高めるには、以下の5つのポイントが重要です。
- 顧客との交渉はWIN-WINを目指す必要がある
- 交渉は段取り八分:準備の重要性
- 交渉の準備のポイント
- 交渉におけるコミュニケーションのポイント
- 交渉の後始末とフォローアップ
これらのポイントを実践することで、交渉の成功率を高めることができます。交渉の成功は、営業の成功に直結します。
営業パーソンは、交渉のスキルを身につけることで、
顧客との良好な関係を築き、ビジネスの成功につなげることができます。
この記事が、営業パーソンの皆様の交渉力の向上に役立てば幸いです。
ぜひ、この記事の内容を実践してみてください。