「勝負は見えた」という油断が、来期の敗北を生む
12月に入り、多くの企業で「今期の着地」が見えてくるタイミングでは
ないでしょうか。
目標達成が確実な営業組織も、残念ながら未達が濃厚な営業組織も、
「もう今期の数字はほぼ決まった」という空気が漂い始めます。
しかし、ここで営業マネジャーに投げかけたい問いがあります。
「今期の数字が見えたから、もう今期は終わりですか?」
答えは、明確にNOです。
むしろ、今期の数字が見えた今こそ、営業マネジャーとしての真価が問われる時期なのです。
なぜなら、今期残り3ヶ月の過ごし方が、来期、そして中長期的な営業組織の成長を大きく左右するからです。
私は独立して7年間、大手企業を中心に営業組織の強化支援を行ってきました。年間130回を超える研修や、60名以上の営業幹部との1on1ミーティングを通じて、多くの営業組織を見てきましたが、強い営業組織とそうでない営業組織の違いは、「今期の数字が見えた後の3ヶ月の過ごし方」に如実に表れます。
強い営業組織の営業マネジャーは、今期の数字が見えた瞬間から、視線を来期、さらには中長期に向け始めます。一方、伸び悩む営業組織のマネジャーは、「今期が終われば一息つける」と考え、この貴重な3ヶ月を無為に過ごしてしまうのです。
本記事では、今期残り3ヶ月で営業マネジャーが取り組むべき「来期の仕込み」と「中長期戦略を見据えた動き」について、具体的なアクションプランとともに解説していきます。
この3ヶ月をどう過ごすかで、あなたの営業組織の来期、そして今後数年間の成長曲線が決まると言っても過言ではありません。
なぜ「今期の数字が見えた」時が最も危険なのか
1-1. 組織に蔓延する「終わりムード」の弊害と営業マネジャーの役割
今期の着地が見えてくると、営業組織には独特の空気が流れ始めます。
目標達成が見えている組織では安堵感が、未達が濃厚な組織では諦めムードが漂います。
この「終わりムード」は、営業組織にとって極めて危険です。営業マネジャーはまず、この空気に敏感である必要があります。
目標達成組織に潜む罠
目標を達成できそうな営業組織では、メンバーの気が緩みがちです。
「あと少しで今期が終わる」「目標は達成できそうだから、少しペースを落としても大丈夫」という心理が働きます。
ある大手企業のA営業部では、11月時点で目標達成率105%を記録していました。部長は「今期は順調だ」と安心していましたが、私が個別に営業メンバーと面談すると、驚くべき事実が判明しました。
主力メンバーの一人が「実は、来期に受注をめざしていた案件を今期に価格を下げて前倒しで受注してしまった」と打ち明けたのです。今期の数字を確実にするために、本来なら来期にしっかりと形作り、適正価格で受注すべき案件を今期に入れ込んでいたのです。その結果、来期4月の受注見込みは前年同期比で30%も減少していました。
これは「今期さえ良ければいい」という短期思考の典型例です。
今期の目標達成という目の前のゴールに夢中になり、来期以降のパイプラインが枯渇していることに気づいていなかったのです。
未達組織に広がる諦めムード
一方、目標未達が濃厚な営業組織では、さらに深刻な問題が発生します。「どうせもう無理だから」という諦めムードが蔓延し、メンバーのモチベーションが急速に低下するのです。
B社の営業課では、11月時点で目標達成率が85%止まりでした。課長は「残り2ヶ月で15%も伸ばすのは無理だ」と考え、口では最後まで達成を目指すと言いつつ、実質的に今期を諦めてしまいました。その結果、メンバーも「来期頑張ればいい」と考え、商談の手を緩めてしまったのです。
しかし、これは大きな間違いです。今期未達が確定的だからこそ、残り3ヶ月の過ごし方が重要になるのです。ここでの取り組みが、来期のスタートダッシュを決定づけます。
実際、私が支援したC社では、11月時点で目標達成率80%という厳しい状況でしたが、マネジャーが「今期は確かに厳しいが、ここからの3ヶ月で来期の基盤を作る。その活動の副産物として今期の数字につながる案件が見つかれば更によし」と方針転換しました。結果として今期は90%の着地となりましたが、より重要なのは来期4月の時点で既に目標の70%を達成できるパイプラインを構築できたことです。これは前年同期の2倍以上の数字でした。
1-2. 四半期思考から脱却できない日本企業の課題と営業戦略
多くの日本企業、とくに上場企業では、四半期ごとの業績開示が求められます。その結果、営業組織も「今四半期の数字」「今期の数字」という短期的な視点に支配されがちです。
しかし、営業という仕事の本質を考えれば、これは極めて不自然な時間軸です。
BtoB営業、とくにエンタープライズ向けの営業では、商談の立ち上げから受注まで6ヶ月から1年、場合によっては2年以上かかることも珍しくありません。つまり、今期の受注は、実は前期や前々期に仕込んだ案件が結実したものなのです。
逆に言えば、今期仕込んでいない案件は、来期・再来期の受注にはつながりません。
ある外資系IT企業のトップセールスは、私にこう語りました。
「私は常に18ヶ月先を見ています。今期の数字は、昨年の今頃に仕込んだ案件です。だから今、来期後半から再来期にかけての案件を仕込んでいるんです。四半期の数字に一喜一憂していたら、長期的な成長は望めません」
この言葉は、営業マネジャーにとって極めて示唆に富んでいます。今期の数字が見えた今こそ、18ヶ月先・24ヶ月先を見据えた種まきを始めるべきなのです。
1-3. パイプラインの枯渇が招く「負のスパイラル」
今期の数字ばかりを追いかけ、来期以降の仕込みを怠ると、営業組織は「パイプライン枯渇の負のスパイラル」に陥ります。
このスパイラルは次のように進行します。
- 第1段階:今期の数字を追うあまり、新規案件の開拓が疎かになる。今すぐ受注できそうな案件ばかりに時間を使い、中長期の案件開拓に時間を割かない。
- 第2段階:来期が始まると、受注できそうな案件が極端に少ない状態からスタートする。結果として、来期の序盤で大きく出遅れる。
- 第3段階:出遅れを取り戻そうと焦り、さらに短期的な案件ばかりを追いかける。中長期の案件開拓はさらに後回しになる。
- 第4段階:このサイクルが繰り返され、営業組織は常に「今期の数字」に追われる自転車操業状態に陥る。
私が支援したD社では、まさにこの負のスパイラルに陥っていました。営業部長は毎期、期初に「今期は厳しいスタートだ」と頭を抱え、期末には「なんとか目標を達成したが、来期が心配だ」と不安を漏らす。この繰り返しが5年間続いていました。
この状況を脱却するために、私たちは今期の数字が見えた時点から、来期の案件開拓に時間の30%を割くというルールを導入しました。最初は抵抗もありましたが、3ヶ月後、来期が始まる時点で、例年の3倍近いパイプラインを構築することができました。結果として、来期は過去最高の売上を記録し、さらに重要なのは、再来期に向けた案件も並行して仕込めるようになったことです。
今期残り3ヶ月でやるべき「来期の仕込み」5つの施策
では、今期の数字が見えた今、営業マネジャーは具体的に何をすべきか。
ここでは、来期の成功を確実にするための5つの重要施策を解説します。
2-1. 来期の目標達成シナリオを緻密に設計する
まず最初に取り組むべきは、来期の目標達成シナリオの設計です。多くの営業組織では、期が変わってから慌てて計画を立て始めますが、それでは遅すぎます。今期が終わる前に、来期の営業戦略を固めておく必要があります。
目標達成シナリオ設計の5ステップ
ステップ1:来期の目標数字を正確に把握する
まだ正式な目標が下りていない場合でも、過去の傾向や会社の成長率から、ある程度の予測は可能です。「おそらく今期比110%程度」といった概算でも構いません。まずは仮の目標を設定しましょう。
ステップ2:達成に必要な案件数と案件規模を計算する
目標金額が決まったら、それを達成するために必要な案件数を計算します。このとき、過去の実績データを活用します。
過去3期分のデータから、平均受注単価、商談からの受注率、商談数などを分析し、「目標達成のためには、最低でも○件の商談が必要」という数字を明確にします。
ある企業では、この分析の結果、
- 来期に5億円を達成するには、平均単価2,000万円の案件を25件受注する必要がある
- 受注率を30%と仮定すると、約80件の商談を創出しなければならない
という結論に至りました。
ステップ3:四半期ごとの受注目標を設定する
年間目標を四半期に分解します。ただし、単純に4等分するのではなく、過去のトレンドや季節要因を考慮します。
多くのBtoB企業では、第4四半期が最も受注が多くなる傾向があります。一方、第1四半期は新年度の予算確定を待つ顧客が多く、受注が伸び悩みがちです。こうした特性を踏まえ、現実的な四半期目標を設定します。
ステップ4:既存パイプラインと不足分を明確化する
現時点で既に来期の案件としてパイプラインに入っている商談をリストアップし、金額を集計します。そして、目標との差分、つまり「あと何件・いくら分の案件が必要か」を明確にします。
ステップ5:案件創出の具体的計画を立てる
不足分の案件をどうやって創出するか、具体的な計画を立てます。新規顧客開拓、既存顧客へのクロスセル・アップセル、パートナー経由など、複数のチャネルから案件を創出する計画を立てましょう。
2-2. 重点顧客・重点案件の選定と集中投資
限られた営業リソースで最大の成果を上げるためには、「どこに集中するか」の判断が極めて重要です。今期残り3ヶ月で、来期の重点顧客と重点案件を選定し、そこに営業リソースを集中投資する準備を整えましょう。
重点顧客選定の3つの基準
- 基準1:売上ポテンシャル
その顧客から来期、どれだけの売上が期待できるか。既存顧客の場合は過去の購買実績と今後の拡大可能性、新規顧客の場合は企業規模や業種から推定される購買力を評価します。 - 基準2:関係性の深さ
既に良好な関係が構築できているか、キーパーソンとのコネクションがあるか。関係性が深い顧客ほど、案件化の確率が高くなります。 - 基準3:戦略的重要性
売上だけでなく、その顧客を獲得することの戦略的意義を評価します。業界のリーディングカンパニーであれば事例効果が期待できますし、新規市場への進出の足がかりとなる顧客もあるでしょう。
これら3つの基準で顧客を評価し、上位20%を「重点顧客」として選定します。そして、今期残り3ヶ月で、これらの重点顧客との関係強化と案件発掘に集中的に取り組みます。
重点顧客へのアプローチ施策
施策1:経営層とのリレーション構築
重点顧客に対しては、担当者レベルだけでなく、経営層とのリレーション構築を進めます。年末年始の挨拶を口実に、顧客の経営層と自社の経営層のミーティングをセットするのも有効です。
施策2:来期の課題ヒアリング
12月から1月にかけて、多くの企業が来期の事業計画を策定します。このタイミングで重点顧客を訪問し、「来期の重点施策や課題」をヒアリングします。この情報が、来期の提案につながります。
施策3:ソリューション開発
ヒアリングした課題に対して、自社がどのような価値を提供できるか、今期中にソリューションを開発します。来期が始まったらすぐに提案できる状態を作っておくのです。
2-3. 新規顧客開拓の先行投資
既存顧客だけでは、中長期的な成長は望めません。今期残り3ヶ月は、来期以降の成長を支える新規顧客開拓に先行投資する絶好の機会です。
新規顧客開拓の3つのアプローチ
アプローチ1:ターゲットリストの作成と優先順位付け
まず、来期攻略すべき新規顧客のリストを作成します。業種、企業規模、地域などの観点から、自社の商材と親和性が高い企業をリストアップします。
その上で、各企業の情報を収集し、優先順位を付けます。決算情報、ニュースリリース、求人情報などから、その企業が今どのような状況にあり、どのようなニーズを持っている可能性があるかを分析します。
アプローチ2:接点創出の仕掛け作り
優先順位が高い企業に対して、どうやって接点を作るか、複数の仕掛けを用意します。
- 年明け1〜2月にセミナーを開催する計画を立て、今期中に準備を完了する
- ターゲット企業の経営課題に直結するテーマでホワイトペーパーやケーススタディを作成する
- 既存顧客や取引先からの紹介を積極的に依頼する
アプローチ3:アプローチ開始のタイミング設計
新規顧客へのアプローチは、タイミングが重要です。多くの企業では年度末の3月は意思決定が難しく、新年度が始まる4月も新体制への移行で忙しい時期です。
そのため、1〜2月、あるいは5月以降がアプローチに適したタイミングです。今期中に準備を整え、最適なタイミングでアプローチを開始できるようスケジュールを組みます。
2-4. メンバーの育成計画の策定と実行開始
来期の成功は、メンバー一人ひとりの成長にかかっています。今期残り3ヶ月は、メンバーの育成計画を策定し、実行を開始する重要な期間です。
効果的な育成計画の立て方
ステップ1:個別面談による現状把握
まず、メンバー全員と個別面談を行い、現在のスキルレベル、強みと弱み、本人の希望や目標を把握します。今期の振り返りも併せて行い、「どのような案件で成功したか」「どのような場面で苦労したか」を具体的に聞き出します。
ステップ2:スキルマップの作成
営業パーソンに必要なスキルを体系的に整理し、各メンバーの現在地を可視化します。
例:
- 商談スキル(ヒアリング、提案、クロージング)
- 商品知識・業界知識
- プレゼンテーションスキル
- 資料作成スキル など
各スキルについてレベル1〜5段階で評価し、マップ化します。
ステップ3:優先育成テーマの決定
すべてのスキルを同時に伸ばすことはできません。各メンバーについて、来期の目標達成に最も影響が大きいスキルを1〜2つ選び、そこに絞って育成します。
ステップ4:具体的育成施策の設計
- OJT(同行営業・商談サポート)
- Off-JT(研修・勉強会)
- 自己学習(書籍・オンライン講座)
といった施策を組み合わせ、具体的なプランを作ります。
ステップ5:育成計画の共有とコミットメント
作成した育成計画を本人と共有し、「なぜこの育成が必要なのか」「来期どのような成果につながるのか」を丁寧に説明し、本人のコミットを引き出します。
今期中に着手すべき育成施策
- 週1回のロープレ実施
- 今期の成功事例の共有会
- 営業マネジャーによる同行営業とフィードバック
これらを今期残り3ヶ月の定例活動として組み込むことで、来期のスタートダッシュに備えます。
2-5. 営業プロセスとツールの見直し・改善
来期の成果を最大化するためには、営業プロセスそのものを見直し、より効率的で効果的な仕組みを構築することが不可欠です。今期残り3ヶ月は、その見直しと改善に取り組む絶好のタイミングです。
営業プロセス見直しの3つのポイント
ポイント1:ボトルネックの特定
- 見込み客の発掘段階でつまずいているのか
- 商談化率が低いのか
- 商談数は多いが受注率が低いのか
- 受注までのリードタイムが長すぎるのか
データを分析し、最も改善が必要なポイントを特定します。
ポイント2:ベストプラクティスの標準化
トップセールスのやり方を分析し、
- 初回商談での質問リスト
- 提案書のテンプレート
- クロージングのトークスクリプト
などを標準プロセスとして文書化し、全メンバーが使えるようにします。
ポイント3:ITツールの活用
SFAやCRMなどのツールを「導入しているだけ」にせず、本当に必要な機能に絞って使い倒す状態を目指します。
具体的改善施策
- 提案書・会社案内・製品カタログなど、営業資料のブラッシュアップ
- 商談記録フォーマットの統一と必須項目の明確化
- 週次ミーティングを「数字報告会」から「案件攻略会議」に転換
中長期戦略を見据えた3つの重要テーマ
来期の仕込みと並行して、より中長期的な視点での取り組みも進める必要があります。ここでは、営業マネジャーが今期残り3ヶ月から着手すべき3つの戦略的テーマを解説します。
3-1. 市場トレンドの変化を捉えた営業戦略転換
ビジネス環境は日々変化しています。今期うまくいった営業戦略が、来期も通用するとは限りません。
市場分析の4つの視点
- 顧客の購買行動の変化
- 競合の動向
- 技術革新の影響(AI、クラウド、IoTなど)
- 規制や社会情勢の変化(環境対応、ESGなど)
これらの視点で自社を取り巻く環境を整理し、「どの市場に、どの価値で、どのチャネルから攻めるのか」を再定義します。
戦略転換の実行ステップ
- 現状戦略の棚卸し
- 戦略の有効性検証
- 新戦略の立案(段階的な移行計画)
- 組織への浸透と現場の納得形成
3-2. 組織能力の底上げとタレントマネジメント
中長期的に「勝ち続ける営業組織」を目指すなら、個々の営業スキルだけでなく、組織全体の能力を高める仕組みづくりが欠かせません。
組織能力向上の3つの施策
- ナレッジマネジメントの仕組み構築
- メンター制度の導入(ベテラン×若手のペアリング)
- 越境学習の機会提供(ローテーション・他部門との交流)
タレントマネジメントの実践
- ハイポテンシャル人材の特定
- 個別育成計画の策定
- キャリアパスの提示
- リテンション施策(やりがい・成長機会・環境・文化)
3-3. デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応
営業DXは、もはや一部の先進企業だけのテーマではありません。すべての営業組織にとっての必須テーマです。
営業DXの3つの領域
- 顧客接点のデジタル化(オンライン商談・ウェビナー・チャット対応など)
- 営業プロセスのデジタル化(MA・SFA・CRMなどの活用)
- データ分析と意思決定の高度化(勘と経験からデータドリブンへ)
DX推進のロードマップ
- フェーズ1:現状把握と課題整理(今期中に実施)
- フェーズ2:パイロット実施(来期第1四半期)
- フェーズ3:本格展開(来期第2四半期以降)
- フェーズ4:定着と継続的改善(来期後半〜再来期)
DXを成功させるためには、経営層のコミットメント・現場の巻き込み・スモールスタート・継続的な教育が重要です。
今期残り3ヶ月の具体的アクションプラン
ここまでの内容を、「12月・1月・2月で何をやるか」という具体的な行動レベルに落とし込んでいきます。
4-1. 12月にやるべきこと
12月の重点テーマ:来期戦略の確定と周知
- アクション1:来期目標達成シナリオの完成(12月第1週)
- アクション2:重点顧客・重点案件の選定(12月第2週)
- アクション3:メンバー全員との個別面談(12月第2〜3週)
- アクション4:新規顧客ターゲットリストの作成(12月第3週)
- アクション5:営業資料のブラッシュアップ開始(12月第4週)
- アクション6:来期キックオフミーティングの企画(12月第4週)
4-2. 1月にやるべきこと
1月の重点テーマ:来期のスタートダッシュ準備
- アクション1:来期キックオフミーティングの実施(1月第2週)
- アクション2:重点顧客への来期初回訪問(1月第2〜4週)
- アクション3:新規顧客へのアプローチ開始(1月第3週〜)
- アクション4:営業資料の完成と実戦投入(1月第3〜4週)
- アクション5:来期第1回目の育成施策実施(1月第4週)
- アクション6:1月の実績レビューと2月の計画策定(1月最終週)
4-3. 2月にやるべきこと
2月の重点テーマ:来期戦略の本格始動
- アクション1:重点案件の進捗レビュー(2月第1週)
- アクション2:新規顧客アプローチの第2波(2月第1〜2週)
- アクション3:顧客セミナーの開催(2月第2〜3週)
- アクション4:営業プロセス改善の効果検証(2月第3週)
- アクション5:来期第2回目の育成施策実施(2月第4週)
- アクション6:2月の実績レビューと3月の計画策定(2月最終週)
4-4. マネジャー自身の時間管理術
これだけ多くのアクションを実行するには、営業マネジャー自身の時間管理が極めて重要です。
時間管理の5つの原則
- 重要だが緊急でないこと(来期の仕込み・中長期戦略)に時間を使う
- カレンダーブロッキングで「時間を先に確保」する
- 委譲できることは思い切って委譲する
- 会議の効率化で「ムダな1時間」を削る
- 朝の時間を「思考と創造の時間」として活用する
おわりに:「今」が来期、そして未来を決める
ここまで、今期の数字が見えた今期残り3ヶ月で、営業マネジャーがやるべきことを詳しく解説してきました。
改めて強調したいのは、この3ヶ月の過ごし方が、あなたの営業組織の来期、そして今後数年間の成長を大きく左右するということです。
「今期の数字が見えたから、一息つこう」ではなく、
「今期の数字が見えたからこそ、来期の仕込みに全力を注ごう」という発想の転換が必要です。
私がこれまで支援してきた強い営業組織は、例外なく「先を見る力」を持っていました。今期の数字を追いながらも、常に来期、再来期、さらにその先を見据えて行動していました。
一方、伸び悩む営業組織は、常に「今期」に視線が固定されていました。今期が終われば一息つき、来期が始まってから慌てて動き出す。この繰り返しでは、持続的な成長は望めません。
あなたの営業組織は、どちらのタイプでしょうか。
もし後者であれば、今こそが変わるチャンスです。この記事で紹介した施策を、今日から、いや今から始めてください。
全てを一度に実行する必要はありません。まずは、あなたの営業組織にとって最も重要だと思う施策を一つ選び、そこから着手しましょう。
- 「まずは来期の目標達成シナリオを作ってみよう」
- 「メンバー全員と個別面談をしてみよう」
- 「重点顧客を10社選定してみよう」
一つの施策を実行し、その効果を実感できれば、次の施策への意欲も湧いてきます。そうして少しずつ、営業組織は変わっていきます。
最後に、一つだけお願いがあります。
この記事を読んだら、すぐに行動を起こしてください。「いい話を聞いた」で終わらせないでください。
明日から、いや今日から、何か一つでもいいので実行してください。
それが、あなたの営業組織の未来を変える第一歩になります。
今期残り3ヶ月は、見かけ以上に長く、そして重要な期間です。
この期間をどう使うかで、来期の成否が決まります。
ぜひ、この貴重な3ヶ月を最大限に活用してください。
あなたと、あなたの営業組織の来期の成功を心から願っています。
