年上の部下を持つマネジャーのマネジメント力を上げるには?

年上の部下をどのようにマネジメントしたら良いか迷っている若いマネージャーが多いと、
人材開発担当の方や研修会社の営業の方から話を聞くことが多いです。

確かに、年上の部下がいると、特に以前お世話になったことがある先輩が
自分の部下になるとどうしたらよいか、結構悩む方は多いのではないかと思います。

私も同じような経験をして、苦労したことがあります。

私は当時人材派遣会社で支店長をしていました。

支店長としての経験は1店舗目はいわゆる小店と呼ばれる規模の支店で、
管理するメンバーも両手で数えることが出来る人員構成でした。
1店舗目ということもあり、今ではパワハラだと言われるような
マネジメントを行っていましたが、全店でもトップクラスの成績を
残すことが出来ていました。
また、メンバーは自分よりは若く、経験の浅い方ばかりであったため
パワハラまがいのマネジメントでもなんとか支店運営をすることが
出来ていました。

その後、成果を認められて以前所属したことのある大規模の支店の

支店長を任されました。
その支店のメンバーは、私よりも先輩も多く、かつ他社で管理職経験豊富な
ベテラン営業パーソンで構成されていました。

赴任するにあたり、本部も若干不安を感じていたのでしょう
赴任した最初のミーティングでは支店長であるとしっかりとメンバーに

認めさせるようにと言われていました。

そのため、最初のミーティングでは支店の改革案を考え、
今後どのようにしていくかのビジョンと行動計画を披露しました。
その場は、なんとなく響いていないなという感覚もありましたが
最初のミーティングは特に異論も出ること無く終了しました。

しかし、この後方針通りに進んだかというと
全く変わらず以前通り、いやこれまで行っていたことまでも
徹底されずに業績は低迷することになりました。
そして、最終的にはメンバーから今度の支店長ではついて行けない
支店長を交代させて欲しいというような声が本部に上がる始末になってしまいました。

これは、何が原因だったのでしょうか。
検討していきたいと思います。

目次

年下上司の悩み

年下上司が抱える一番の悩みは、部下からリスペクトを得ることです。
新しい企画を提案した時、自分より経験豊富な年上の部下が反対意見を出した場合、
どう対応すれば良いのか、戸惑うことがあります。
自分のアイデアが十分に価値があると感じていても、
自分の年齢や経験の少なさがネックとなり、自信を失うこともあります。

また、自分の指示が年上の部下に受け入れられるのか、不安を感じることもあります。
自分が出した指示が部下にとって納得のいくものであるかどうか、
常に不安に感じることもあります。

年上部下の悩み

一方、年上の部下もまた困難を抱えています。
年下の上司からの新しい方法や方針を受け入れることに抵抗を感じることがあります。
これまでの経験や成功体験から、自分なりの方法や考え方があるため、
それが無視されると感じた場合、反発心を抱くこともあります。

また、長年積み上げてきた経験や知識が年下の上司に理解や尊重されないと感じた場合、
不安になることがあります。
自分の経験が十分に評価されていないと感じると、やる気を失い、
業績に影響を与えることもあります。

新たな人間関係の課題

年下の上司と年上の部下という人間関係は、
近年、企業の成長とともに増えてきています。
これは企業が能力主義を重視し、年齢よりも結果を出す能力を評価する
風潮が強まったことが上げられます。

また、中途採用などで経験者を採用することが多くなり、
他企業で経験を積んだ社員が多くなってきたことや、
多世代が働く職場が増えた結果です。

この新たな関係性は、伝統的な上下関係とは異なり、
互いの立場を理解し尊重することが求められます。

例えば、年下の上司は、自分の意見を押し付けるのではなく、
年上の部下の意見も尊重しながら進めることが必要です。
また、年上の部下も、年下の上司の指示を素直に受け入れることが求められます。
この新たな人間関係の中で、相手を尊重し、共に成長するための
コミュニケーションが重要となります。


具体的なスキルとしては以下のようなものが考えられます。

  • 傾聴・ヒアリングスキル:
    年上の部下の意見や感情をしっかりと聞き、理解する。
  • フィードバックスキル:
    具体的で建設的なフィードバックを提供し、部下の成長を支援する。
  • コンフリクトマネジメント:
    意見の相違や摩擦が生じた時に適切に対処し、解決に導く。

マネジメント力強化:解決策とツール

人材開発部門が年下の上司のマネジメント力を強化するためには、
以下のような支援が必要です。

  • トレーニングと教育:
    マネジメントスキルに関するトレーニングや教育プログラムを提供します。
    これには、コミュニケーションスキル、リーダーシップスキル、コンフリクトマネジメントなどが含まれます。
    これらのプログラムを通じて、年下の上司は必要なスキルを学び、実践する機会を得ることができます。
  • メンターシップ:
    年下の上司に対して、経験豊富なリーダーをメンターとして指名し、定期的なフィードバックとアドバイスを
    提供します。メンターは年下の上司が直面する可能性のある問題を理解しており、彼らがこれらの問題を
    どのように解決するかのガイダンスを提供できます。
  • リーダーシップ開発プログラム:
    年下の上司がリーダーシップスキルを強化するための特別な開発プログラムを提供します。
    このプログラムは、リーダーシップの理論を教えるだけでなく、実際の場面でリーダーシップを発揮するための
    シミュレーションやケーススタディも含むべきです。
  • フィードバックと評価:
    年下の上司のパフォーマンスを定期的に評価し、具体的なフィードバックを提供します。
    これにより、年下の上司は自分の強みと弱点を理解し、自己改善に向けたアクションをとることが
    可能になります。

協創することが出来る組織を作り上げる必要性

現代のビジネス環境は急速に変化し、組織は常に新しい課題と向き合う必要があります。
このような状況下では、全員が協力して価値を創造し、問題を解決する
「協創」の精神が求められます。

年下の上司と年上の部下という新たな人間関係は、その一例です。
年下の上司が年上の部下の経験と知識を活用し、
年上の部下が年下の上司の新しい視点やアイデアを尊重することで、
両者は共に学び、成長します。
そして、その結果として、組織全体が競争力を持つことができます。

しかし、このような協創の組織を作り上げるためには、
組織全体が協創の精神を理解し、それを実践することが必要です。
人材開発部門は、それを支えるための教育やトレーニング、文化作りを
推進する役割を果たすべきです。

具体的には、協創のためのワークショップを開催したり、
協創的な行動をとったメンバーを表彰するなどして、
組織全体で協創の価値を共有し、その実践を奨励することが重要です。

まとめ

年下の上司と年上の部下という関係性は、
現代の多様なビジネス環境では避けられないものです。
しかし、このような人間関係には、それぞれが尊重し合い、
互いの強みを活かすことで、より強力なチームを作り出す可能性があります。
そのためには、マネジメントスキルの向上とともに、協創の精神を組織全体で共有し、
実践することが求められます。
人材開発部門は、これらの目標を達成するための支援を積極的に提供するべきです。

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