部下のやる気を引き出す行動マネジメント

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部下にアドバイスをしても、行動が変わらない

管理職研修を行っていると受講者の管理職の方から

「古厩(ふるまや)さん、部下が成果を上げられるようにアドバイスを行うのですが
なかなかそのアドバイスを実行し続けることが難しいようなんですよ」

「なんでアドバイスしたことをやり続けないのでしょうか」
「成果を上げたいと思っていないのでしょうかね?」
「やはり、やる気の問題なのでしょうか?」

という声をよく聞きます。

皆さんもそのような経験はありませんか?

これは、管理職側に原因があるのでしょうか?
それとも、部下側に原因があるのでしょうか?

どちらに原因があるかは、その状況次第ということはありますが

管理職の部下に対するアプローチの方法を少し意識するだけで改善することは可能です。

部下も成果を上げたいと思っているはず、しかし・・・

部下の方々は「成果を上げなくても良い」と考えているのでしょうか?

おそらくほとんどの方は「成果をあげたい」と考えていると思います。

しかし、これまでの経験からアドバイスを受けた新しいやり方を
継続することに苦労しているのです。

これは「現状維持バイアス」が働いている状態になっていると考えられます。

現状維持バイアスとは?

現状維持バイアスとは、部下が現在の状態やこれまで行ってきた業務の進め方を好み、

変化や新しい業務の進め方に対して抵抗を示す傾向のことです。

部下が現状維持バイアスに陥る可能性がある理由としては、

主に3点が考えられます。

① 部下が過去にうまくいった方法や業務の進め方に慣れ親しんでいる場合、
新しい方法を受け入れることに抵抗が生じることがあります。

② 部下が自分自身の考え方やスキルに強く執着している場合、
管理職からのアドバイスを受け入れることによって自分自身の能力に
疑いを持つことになるため、拒否する傾向があるかもしれません。

③ 上司と部下の信頼関係が不十分な場合、
部下が上司のアドバイスを受け入れにくくなることもあります。
上司が部下に十分な理由や背景を説明せず、単に指示を出すだけの場合、
部下は上司に対する信頼を失い、上司からのアドバイスを疑い、
拒否する傾向があります。

現状維持バイアスを解消し、新たな行動を定着させるには?

部下に成果につながる行動をとらせるためには、まず部下の現状維持バイアスを
外す必要があります。

そのために、管理職が行う必要があることは、

これまでのやり方や考え方を続けることで
上手くいかない、困った状態に陥る経験をする

そして、この状況が続くことは避けたいと思うようになる

という経験を何度もさせる必要があります。
とはいえ、業務で失敗をさせ続けることは、なかなか難しいかと思います。

現実的な方法は、

新しい行動のルールを決めて、現状維持バイアスが生じて行動が滞ったとしても
行動をし続ける環境を作りだし、部下の現状維持バイアスを外していく必要があります。

実は行動をし続ける環境を作り出すと言っても、それほど大がかりなことが必要なわけではありません。

行うべきことは

まず、求められる行動をその理由とともにしっかりと教えます。
その上で、部下の行動をしっかりと観察し、
部下の行動に対して「ほめる」と「しかる」をしっかりと行うことです。

ここで「ほめる」と「しかる」の定義をしておきます。

「ほめる」とは、

求められる行動を部下がしっかりと行えているということを伝えることです。

何も部下をおだてるということではありません。

「○○○を行っていましたね。そうすることで以前よりも効率よく業務が進んでいますね。今後も続けてください」というように観察された良い行動を事実のままに伝えることです。

このように伝えることで、今とっている行動は求められている行動である。そしてその行動が正しい行動であると部下も認識するようになり、行動が加速します。

「しかる」とは

求める行動をとっていないことや間違った行動をとっていることを伝えることです。

ここで注意すべきことは「怒ってはいけない」と言うことです。
「怒る」とは、管理職の感情を部下にぶつけることを指します。
「しかる」で重要なことは事実をありのままに伝えることです。
ここに感情を入れる必要は全くありません。

では、「ほめる」と「しかる」をどのように活用していくかを解説していきます。

管理職が行う必要があることは、部下の良い行動はさらに促進し、悪い行動は改善させることになります。
いわば、悪い行動をせき止め、良い行動へ方向転換させていくことです。

そのために「ほめる」と「しかる」を使います。

まず悪い行動をせき止めるためには、部下の悪い行動を見かけたら、「しかる」ことで、
その行動は間違っている、もしくは行動をとっていないことを部下に理解させます。
そして、求められる行動を改めて教えます。

教えた後の部下の行動を再度観察します。
観察して見つけた部下の良い行動(少しでも改善された場合は完全な行動でなくても)を
「ほめる」ことを行っていきます。

こうすることで、悪い行動をせき止め、良い行動へ転換を図っていきます。
少しずつ行動の改善が見られてきたら、
行動の次のステップを教えることで行動の変換を加速していきます。

このように部下が良い行動をとることが出来るようになると
部下の成果にも変化が現れます(もちろん成果が上がるようになる)。
成果が上がれば、自ずとモチベーションが上がります。

「ほめる」と「しかる」は部下とコミュニケーションの基本中の基本ですが
しっかりと行うことで、部下の行動を変換し、成果が出るようになります。
こうすることで良い循環が回るようになり、組織としての成果を上げやすくなります。

あたり前のことですが、このあたり前をしっかりとやるところからはじめることをおすすめします。

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